認識のズレやすれ違いは日常茶飯事に起きている

ブログ
  1. ホーム
  2. ブログ
  3. 認識のズレやすれ違いは日常茶飯事に起きている

院長や事務長と一緒に、スタッフとの面談に同席することがある。

今日は勤務医A先生に困っていると相談を受けた。「入社してそろそろ半年が経つが、できない上に成長がみられない。つきっきりのため周りの手がとられている。この状態がいつまで続くのか心配になってきた。入社当初は治療が一通りできるという話で今の契約条件になったが、思った以上にぜんぜん出来ないので契約内容を見直したいとも考えている。」とのこと。

そういうことであれば、すぐに勤務医A先生と面談の機会をもったほうがいいと提案し、私も同席させていただいた。

院長の話したい気持ちを制する

相手に伝えたいことがあると、どうしても先に話をしたくなる。スタッフも「何を言われるのか?」緊張しているため空気が重たくなる。その空気に耐えきれず、つい院長から話したいことを話してしまいがちだ。

面談スタート時は、大概、私が院長を制して話を始めるようにしている。面談の声をかけた目的、今日話をしたいことの概要をざっくり話し、ゆるい場づくり、相手の声を引き出すのが私の役割だと心得ているためだ。

まず聴く。相手の気持ちを先に聴く

「半年経って、本人は何を思っているか?」「この半年間に、本人がどんな成長を感じていて、いま何を課題に感じているか?」まずは相手の状態を知ることを大切にしたいと思っている。今の現状に本人は何を思っているのか。また院長が伝えたいことを伝えて響く状態かどうかを観察している。

せっかく面談をしたのに、面談後もなぜか悶々とした気持ちや不安を感じて過ごすことはないだろうか?相手が思っていることを知らないまま一方通行で話を伝えてしまった時にその状態に陥りやすい。また院長が伝えたいことを伝えた後に、スタッフに思っていることを話してほしいと聴いても、自分の思っていることや意見なんて言えない。先に相手の気持ちを聴くことが大切だ。

成長が見られない方の特有の反応

勤務医A先生が、今の状況で思っていることを話してくれたが、質問に対して「的を得ない回答」が返ってくると感じた。質問には答えずに、微妙に話をすり替えてくる感じ。A先生の交わそうとする感じが伝わってくる。つまり話に中身がない。成長が見られない方によくある特有の反応だ。

自分から聴いてきたのにアドバイスに上の空

中身のない話に時間をかけられたくない。少し具体的に話を聴いてみた。「今、テクニカル面でのA先生の課題はなんですか?」

この質問はA先生は回答しやすかったようだ。「私インレーの形成に時間がかかってしまうんですが、院長はどうされていますか?」と質問が返ってきた。そして院長は「僕はこんな時はこうしているよ!」と嬉しそうに話しをはじめた。院長はA先生の成長を願っているためか一生懸命アドバイスをしている。話し方にも熱がはいる。しかし、一方のA先生の表情を見ると「ん?話を聴いてる?」と言いたくなるような顔をしていた。

露髄が怖くて〈検知液⇄削る〉を繰り返していた現状

自分から聴いてきたのに、上の空で聴いているA先生の状態を不思議に思った私は、院長が話しているのを遮って「A先生はインレー形成をするときにどうされているんですか?」とA先生に更に深く質問をしてみた。

するとA先生が「私、露髄するのが怖くてなかなか削れないんです。虫歯検知液を使って確認するんですけど・・・。時間ばかりかかってしまって・・・。」と話だした。つまり露髄が怖くて〈検知液を使う⇄削る〉を繰り返し行っているため治療が進まず時間ばかりがかかっている現状がわかった。

同じインレーの話をしているのに、話が噛み合わないミスコミュニケーション

そして私は納得した。先ほどA先生が院長の話を上の空で聴いていた理由がわかったからだ。院長は自分の経験に基づいてインレー形成のアドバイスを熱心に話していた。しかしA先生が聴きたかったインレー形成で躓いているポイントとはズレていた。同じインレーの話をしているにも関わらず、話が噛み合わないためミスコミュニケーションが行われていたのだ。

A先生の現状を聴いた院長も「え?そんなところで躓いているの?」という表情をした。まぁ、半年も期間が経っているのだからそう思われるのは当然だろう。私も院長と同じ気持ちだった。でもそれを嘆いても仕方がない。現状で起きている現象優先だ。

望まない時間ばかりが過ぎていく・・・

またここで注目したいのは、自分の質問に対する院長のアドバイスがズレているのに、何も言わずに上の空で聴いていることだ。お互い時間は貴重なはずなのに、そこには何も生まない無駄な時間ばかりが過ぎていく。院長としては最も望まない時間の使い方だろう。とても残念な話だ。

しかし、このような状況で、スタッフから認識のズレを提言してくることはまずないと思って欲しい。立場的に言えないとも考えられるし、日本民族や農耕民族特有とも言えるかもしれない。

認識のズレやすれ違いは日常茶飯事に起きている

このように組織内では、思い込みや表面的な言葉を拾ってしまい、お互いの認識がズレたまま話が進んでいることが少なくありません。

スタッフと接する時は、「まず聴く」「具体的に聴く」「深堀して聴く」ことの心がけが大切。

もう1つ大切なのは「先入観を捨てる」こと。「自分と相手は違う」ことを受け入れることだ。同じ経験をしても人によって五感が受け取る情報が違う、そこにどんな言語をつけるかも違う。言葉の組み立ても方も違うためだ。

チームビルディングでは、その違いを受け入れ合うことが大切。人と人が生活していると、認識のズレやすれ違いは日常茶飯事に起きていること。そういう前提でチームメンバーと接することで、良好なコミュニケーションに繋がる。